それでも、空き室が1つ埋まるなら御の字ではないのかという気もします。
「いやいや、一応、N女史もかかわっているんだし、その気があったならもっと早く動いているはずだよ。きちっと契約交わして、家賃が入ってくるならそれはそれでいいのではないか......。」
ここまでの流れで弱気になっているまるもりはなんとかいい解釈をしようとします。(←それがおおきな間違いなのですが、はまってしまっている人間ってそんなものです。)
そんなことをぐずぐずと考えているとN女史からメールがとどきました。
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まるもり様
賃貸契約書を添付いたします。ご参考にしていただければとおもいます。
ご不明なことありましたらお問い合わせください。
N社 N
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あんたのやっていることすべてが意味不明だよ!!という心の叫びを押し殺して、まるもりは添付された文書を確認しました。例によって、N社の名は入っていない直接契約の書類です。
これはやばい香りがします。でもN社の名を仲介で入れろといってもN女史は拒否するでしょう.....。しかし、N女史も信用するのがやばそうな状態で、ある意味、得体のしれない人物(しかも契約書も交わさないで勝手に入居してしまうような人物)と直接契約して大丈夫なのでしょうか?
とてつもない不安がまるもりを襲います。でも冷静に考えて、この現状でS氏を部屋から追い出す方法はまるもりは持ち合わせていません。ここでN女史とS氏に喧嘩を売っても、まるもりに自宅から100kmも離れている物件をどうこうできる力はないのです。
「ええいっ!! もうこうなれば毒をくらえば皿までだっ!!」(← うーん破滅まっしぐらの人のセリフですね.....。)
まるもりは契約書をプリントアウトしてサインしてからネットバンクでS氏の口座に7万円を振込みました。
契約書の添付文書を作成しているときにN女史から再度電話がかかってきました。
「もしもし、まるもりですが.....。」
「まるもりさん。Nです。実は.......。」
「何、また何かあったの....?」 まるもりはもう悪い予感しかしません。
「Sさんから連絡があって、駐車場はつかわないから家賃は32000円でという話になりました。」
「..............。」(この人は何を言っているんだ??)
「ですので契約書の金額もそのようにしてください!」
一体、この人は誰の方向を見て仕事をしているんでしょうか??
「あのね、Nさん。家賃を決めるのはオーナーだっていったのはあなただよね。契約書入れ間違えの時に38000円以上でかならず埋めますっていったものあなただよね。どうしてSさんの言いなりになってこっちに無断で話をすすめるの?
第一、あなたが7万すぐSさんの口座に振り込めっていったからもう7万を広告料として振り込んじゃったんだけど........。」
「そうですか、すいません。でもその形でSさんと話がついたので.....。」
だから、その話をつけて決めるのは最終的にはオーナーであるまるもりのはずでしょ。あんた自身がそう言ってたはずだろが!! それなのに、今全部まるもりの意思無視して話きめてんじゃん!!
N女史と話をしていても拉致があきません。ともかく不法占拠の状態から追い出せない以上、きちっと契約してもらわらくてはいけません。
「わかりました。ともかく家賃32000円での契約で契約書を作成してSさんに送ります。」
「すいません、お願いします。」
電話を切ってからまるもりは思わず叫びました。「すいませんじゃないよ!! ふざけるな!!」