2014年08月19日

続く退去と入らぬ入居 ~失望への序章~(26)


 いきなりの事にまるもりは茫然としていました。


「いえ、理由は特に教えてはもらえなかったんですが、10月中に退去したいとのことなんです。」


 なんということでしょう。リフォームして3か月しかたっていません。これから空き室を埋めていこうとした矢先の続けざまの退出です。


「わかりました。その件は仕方ないのでそのまま手続きをすすめてください。ちょっと今出先なのでまた後でかけなおしますから......。」


 まるもりはそう言って電話を切るのが精一杯でした。


 仲介業者さんを回って、今の現状をいろいろ聞いただけでも厳しい印象をうけて少しショックだったところに、再度退出の連絡です。あまりのことに考えがまとまりません。まるもりは車の中で頭を抱えました。


「この状況で本当に部屋埋めることできるのか?」まるもりはうめくようにつぶやきました。


 ですが、退出が決まってしまったものはもう仕方がありません。来月にはまるもりの物件は8室中1室しか入っていないという状況になるのは確定してしまっているのです。ぶっちゃけ、内見に来た人はどうしてこんなに空室だらけなのかといぶかるでしょう.....。状況はかなり厳しいと言わざろうえません。


「もう、今日はやめやめ。考えてもしょうがないよ....。なるようにしかならないんだから...。」しばらく時間がたってまるもりは少しおちついてきました。家族を待たせていて、これからスーパー銭湯につれていくにしても急がないといけません。


 明日はまたまるもりは通常勤務です。ここでふさぎ込んでいてもなんの利益にもなりませんし、そんな時間はまるもりにはありませんでした。


 ショッピングモールでまるもりは家族と合流すると、フードコートで食事をしました。遠出に、はしゃぐ子供たちをみながら、奥さんがまるもりに話しかけました。


「あなた、それでどうだったの?」


「ああ、正直あまりいい状況ではないようだよ。やはりN女史の設定している家賃は相場より高いんではないかと思う。それに1Kは今の時期はほとんどうごかないらしい。年があけて2月くらいにならないと新規の客は難しいって話だった。」


「そう.....。」


「で、もう一つ悪い話があるんだ。実はこちらに向かっている最中にNさんから電話があって、205号室の人が10月で退去になるっていうんだ.....。」


「えっ!それって大丈夫なの?」


「大丈夫な訳ないじゃないか。8室中1室しか埋まっていないアパートなんて募集しても新築でもなければ訝しがられて入居してもらえないよ!」


「でもあなた、さっき1Kはこの時期はほとんど動かないっていってたでしょう。なのにどうしてその人は退出してしまうの?」


「そんなのこっちが聞きたいよ! Nさんも退去の理由は聞けなかったって。」


「でも退去の理由がわからないと、また新しく入った人もすぐでていってしまうんじゃない? ずいぶんリフォーム代もかかったのにね....。」


「うん。一体、何をやっているのかって感じだよ。」


「で、202号の悪臭の件と雑草のことはNさんに言ったの?」


「いや、言ってない。電話がかかって退去の話を聞いた時は正直ショックでそこまで頭がまわらなかった。」


「まあ、あなたが落ち着いてからちゃんとお話した方がいいわよ。今日はお疲れ様。帰りの運転もあるんだから一回、忘れましょ。」


 妻の言葉にまるもりはすこしほっとしたと同時にN女史に対しての何とも言えない苛立ちがまるもりの中でメラメラと燃え広がってくるのに気づきました。



posted by まるもり at 20:34| Comment(0) | アパート経営奮闘記 | 更新情報をチェックする
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