余震もつづいており、家に奥さんと子供をおいてきているまるもりは、仕事をできるだけ早目に片付け、家に帰ります。途中、懐中電灯やガスボンベなどなにか買えればとショッピングセンターに寄りますがめぼしいいものはほとんど売り切れています。まあ、皆考えることは一緒なのでしょう。
仕方ないので、買い物をあきらめて家に向かいました。昨日の夜のような信号が消えていることはないのはやはり安心です。駐車場に車を止めるとまるもりは家に入りました。
「ただいま。」
「おかえり!」娘たちが、奥さんといっしょに玄関ででてきます。
「大丈夫だったか?」
「まあなんとかね。でもやっぱりいろいろ大変よ。でも今日の午後に昨日のあなたからのメールがとどいたのはびっくりしたわ。」
「君の昨日の午後3時ごろのメールも今日の4時過ぎにとどいたよ。ちょっとおかしかったけどね。ともかく荷物を下ろすよ。」まるもりは荷物を部屋におくと居間にもどりました。
用意された夕食を食べながら妻の話を聞きます。
「どこも、ほとんど品切れね。生鮮食品は手にはいらないわ。高速もあちこち閉鎖されているし、流通がうまくまわっていないみたい。」
「まあ、でも数日で落ち着いてくるだろう。そんなに心配しなくていいんじゃないか?」
「だといいんだけどね。近所の奥さんの家はオール電化で本当に大変だったみたいよ。電気とまると全部だめになるんですって。オール電化とか、タワーマンションとか憧れていたけど、こんなことがあると、あまりの脆さにおそろしい事だと思ったわ。その奥さんも困っていたからポータブルのガステーブルのガス少し分けてあげたわ。」
「そうか。まあ数日は混乱するだろうけど、週末だったのが幸いじゃないかな。月曜日にはもう少しおちつくだろう......。」
その頃、テレビからは枝野官房長官の会見が流れていました。
「なんか福島第一原発の1号機が爆発したっていうし、心配だけど......。」
「まあ、なんだかんだいったって東京電力なんだし、なんとかするだろう。そんなに放射線漏れがあるっていうことじゃないと言っているんだし......。」
晩御飯を食べた後、まるもりはN女史にメールを打ちました。
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N社 N様
いつもお世話になっております。11日の地震はそちらも大変な被害のようですが大丈夫でしょうか?