自宅に帰ってきて一息いれたまるもりに奥さんが声をかけます。
「お疲れ様。大丈夫だった?」
「なんとか、時間内に無事に役所回って、裁判所に書類だせたよ。ちょっとどきどきだったけどね。10万の収入印紙なんてそうそう扱わないし、でも無事に終わったからよかったよ。」
「でもこれからが大変じゃない。」
「まあ、Nさんに色々聞きながらやるさ。ここからのノウハウは教えてもらうしかないからね。」
「そう。うまくいくといいんだけど.....。」
「まあ、借金があるわけじゃないから。そんなに心配しなくても大丈夫だと思うよ.....。」
まるもりは自分に言い聞かせるようにそう答えました。
パソコンでメールを確認するとN女史からメールがとどいていました。
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まるもり様
手数料のご送金ありがとうございました。
本日より落札の通知を開始いたします。
またこちらも状況把握しましたら、都度ご連絡させていただきます。
引き続きよろしくお願い申し上げます。
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「ふうん。送金の確認はしてくれたわけね。」まるもりはそうつぶやくと返信メールを打ち始めました。
前のメールでこちらの行動予定を送ったのに税務署にいく必要はないことを教えてくれなかったのが引っ掛かったのですが
(本当にこちらのメール読んでくれているのかな?読んだなら、それは違います、裁判所に固定資産評価証明書もっていって計算してもらえればいいんですよって言ってくれよな!!)
↑ まるもりの心の叫び
下手に機嫌を損ねられて動いてもらえなくなってしまうのは困ります。
(あ、そうそう奥さんには税務署が無駄足だったことは内緒にしました。またなんか言われそうだし...。)
とりあえずぶつぶついいながら無難な文面を作成します。
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N社
N様
送金の確認ありがとうございました。残金の振込みを行い、U市で登記のために必要な書類をそろえてから裁判所にいき執行係に提出しました。U市は湿った雪になっていました。10日ほどで権利書が送られてくるとのことでした。また書類とどきましたら連絡いたします。またそちらで進展ありましたらご連絡ください。今後もよろしくお願いいたします。
まるもり
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ふうっ。これでここからしばらくはNさんにお任せってことでさすがに大丈夫なんだろう。
さすがに62万の仕事はしてもらわないとね.....。
(まるもりの思いと別に今後、N女史は結構やらかしてくれるのですが......。それは乞うご期待。)